第二十二回 泰永書展 ~回回~感想

後半のフォトギャラリーはWeb泰永会に記載した内容と同じものです。
タイトル
第二十二回 泰永書展~回回~
会期
時期:8月27日()~29日(月)3日間
時間:11時~18時(初日のみ12時~)
会場
文京シビックセンター・
シビックギャラリー展示室1B

※作品集誤植の訂正:野尻泰煌の作品頁に掲載されている漢詩に誤りがありました。(誤)呈→(正)星。お詫びして訂正いたします。

[感想]

 今回は場所探しで時間を費やしましたが最終的にはぴったりの場所でやれて本当に良かった。昨年と同じ日取りでしたが、昨年のような酷暑でもなく中はともかく過ごしやすい3日日間でした。節電の影響で皆さん「暑い暑い」を連呼されてましたが、私はどちからというと低体温なので丁度いい感じ。(笑)今年も変化に富んだ展示となり面白い。他の方の作品を穴があきそうなほど鑑賞させて頂き自らの肥やしにさせて頂きました。最初の師が先月亡くなり、野尻の奥さんを見送って10年。色々考えさせられることがありました。奥さんがご存命の時にご一緒いただいた懐かしい顔もみえました。
 書に対するスタンスは相変わらずですが、彼女たちのバトンをしっかりと受け止め、その思いを受け継ぎたいと決意するに至りました。・・・と、言うのは簡単なんですけどね。(笑)

「僕はやった分しか認めないよ。やった分しか出ないんだから」
 笑いながら放った野尻の言葉が胸にささります。
なんであれ、やった分しか出ない。
今の自分が全て。そこには肯定も否定も存在しない。あるがままの姿がそこにあるのみ。
[フォトギャラリー]
(シビックギャラリー展示室1B外観)
展望エレベーターの正面にある。
全てをオープンにしてしまうと外から眺めて満足されてしまうため、
半分はカーテンを下ろした。
(シビックギャラリー展示室1B入口より全景)
今年よりお世話になる文京シビックセンターの展示室1B。
現在の泰永書展の規模に丁度マッチしている。
芸術劇場より天井は低いが、10尺の作品が飾れる高さをもつ。
(来場者風景)
8/28日曜、二日目の様子。
外では某有名事務所に所属のデビューツアーがドームで開催され賑やか。
印象としては文京区役所が開く平日の方がフリーのお客様が多い。
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(メイン壁面)
会場のメインとなる壁面には野尻泰煌の書が鎮座する。
来年の海外で開会される展示会に向け作成されたもの。
あくまで過程のもので展示される作品は異なる。
ロンドンでの揮毫も依頼されたが諸事情で断らざるおえなかったよう。
脇を子供達の金文、草書、大人の楷書が固め、人気を得る。
代表は「僕の脇には子供の作品が一番合う」と語る。
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(シビックセンター25階の眺望)
後楽園という地は街全体がアトラクションのようだ。
東京ドームやドームシティ、ラクーアといい遊戯施設が多く、
ここシビックセンターも25階が無料の展望室となっていた。
8/28日の日曜昼。天気もよくスカイツリーがクッキリ見える。
池袋サンシャインビル、新宿都庁など大パノラマも眺望できた。
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(来場者の注目作)
毎年内外から声が上がる人気作を集めてみた。
代表は、「全体のレベルは高くなった。今年のベスト1はマッちゃんだな」
と私の作品をご評価していただけた。嬉しいやら恥ずかしいやら恐縮である。
観客からの人気は比較的分散した年となった。
その中でも一歩抜きに出たのは、恒例となった隷書額。今年は2×8尺。
入口に鎮座し客を魅了した。
あの書風は昔から女性の人気が高いが、今年も女性から圧倒的な支持をえた。
もう一つも恒例とった金文。書といより絵画的に鑑賞された方も多いようだ。
代表の作品には涙する人も。
「これだけ多彩だと書道展も楽しい」との声も上がった。
お忙しい中、本当にありがとうございました。
*

見る好みと、書ける能力は別

私は見る分には楷書、隷書が好きです。
でも、書こうとすると肉体の奥底から「書きたくない」という塊が湧いてきます。
それを無視して書くとやはりストレスになるようで手が止まってしまいます。

野尻は、「好みと能力が一致している人は珍しい」といいます。

私は典型的な例のようで、
見る好みと、実際に持っている能力が真逆のタイプ。

「ここまで逆なのも珍しいけど、
完全に一致している人もそうはいない」と言います。

好みと能力は別ということです。
能力にないことをやるのは肉体的ストレスになり身体が拒絶するようです。
好みと違うことをやると楽しくはないものの肉体は受け入れるためストレスにはなりません。
不思議なものです。

好みと能力が努力によって寄り添うことは永遠にないように思います。
持って生まれたものですので。
人間は肉体をベースにした生きものですので、
肉体の能力にあった方向性に進みつつ、時折好みに手をつけるぐらいが良さそうです。
ただし、

「草書を習熟する書家は、
結果的に楷書も書けないと草書の大家にはなれない」と野尻は語ります。

「草書が体質に馴染むものは上達するほどに
余計に点折が曖昧になり流れてしまう。
経年と共にそれをよしとしてしまい、思い込みが出来る。
流れた草書は書にあらず。点折が出来ていてこその草書である。
それを防ぐためにも楷書はやらざるを得ない。
結果的に草書の大家は楷書の大家にもなる」 

師匠から渡された課題に楷書がありました。
新たな段階に入ったようです。
楷書・・・書きたくないなぁ。(笑)
師の楷書が素晴らしすぎる。
まぁ、仕方がありませんね。
下手は下手で受け止めるしかありません。

泰永書展の開催は予定通り

明日から泰永書展ですが、
今のところ予定通り開催できそうな運びです。
東電から輪番の発表もありませんし、
そもそも東電の電力には余裕があるようですし、
会場からも特に発表はありません。
地震もここ数日は落ち着いておりますね。

今年は会場が変わり、
会場側の指針により
接待や作品集の販売が出来ません。
バックヤードもありません。
純粋に鑑賞して頂ければ幸いです。
今年も泰永会らしい変化に富んだ展示となりそうです。

書道展目的だけで出るには躊躇われるのなら、
ついでに後楽園やラクーアへ遊びに行ってもよろしいのではないかと思います。
プレイスポットは多いです。
後楽園って野球好き、プロレス、ボクシング好きでもない限り来ませんしね。

アイス好きとしてはドームの外にあるカプリチョーザでソフトクリーム300円を食べながらのんびり外を眺めくつろぐのもよいかと。
私はミックス派です!!
先日打ち合わせした後、高熱でうなされながら座って食べました。
量は少なめ、味は普通ですが、オッサンにもなると雰囲気が大切。
その時はモデルさんの一団が闊歩してました。
アゲハ蝶のようでした。

師匠から課題をたんまり頂き「ヒー」と唸っている鳳煌でした。
すこし学生に戻った気分です。