これは書道(syo-do)に特に必要じゃない道具に分類されると思う。
必ずしも必須ではない道具という意味です。
代用がきくものは一杯ありそうです。
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・水さし
水差/水指
(みずさし)
(mizu-sasi)
(米:pitcher/英:jug)
用途:水を入れておく器。
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アメリカ英語でピッチャー言われると、
野球かビアガーデンしか思い当たりません。
その辺はなんとな~く斟酌をもって受け止めてください。
そのままの意味で水をいれておく器です。
専用のものもありますが、
茶道と異なり、書道は結果(作品)がものをいう世界なので
気にならなければなんでも構いません。
私は、格下げになった急須や、
甥子が旅行へいった際に作った陶磁器のお椀に入れています。
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水を入れる理由
1.墨色(boku-syoku)
2.滲み(nizimi)
3.掠れ(kasure)
4.粘度(nen-do)
これらを調整するため。
墨をすりたい場合は必ず必要です。
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1.墨色は基本的に黒ければいいのですが、
行書や草書は濃淡が鑑賞の大きな要素になってきます。
当分の間はあまり気にしない方がよいでしょう。
他に気にしなければいけないことが山積みだからです。
日本人は薄いのが好きな方は多いようですが、
薄すぎる作品もよく見かけます。
場合によっては読めません。
薄い作品は筆路不明瞭になるので減点の対象となります。
薄さにかまけて誤魔化していることも少なくないかと思います。
薄さに酔いしれた草書は危険です。
その甘美さに技術が蔑ろにされてしまうでしょう。
いずれ書道から徐々に遠ざかった世界に入ってしまうと思います。
2.「滲み(にじみ/nizimi)」は鑑賞の重要な要因となります。
滲み調整で水を入れることことも少なくないでしょう。
しかし、あまり意図しない方がよいでしょう。
滲みは結果的に出るものです。水分を含みますから。
滲みを過度に気にすると、書の道から外れて迷子になってしまうかもしれません。
作為的になってしまいます。
それは「わざとらしさ」につながる為です。
師はよく、「鼻につく」といいます。
ドヤ顔のようなものです。
うっかり出てしまったドヤ顔は表現ですが、
意図して用意していたドヤ顔は感じ悪いだけなのと同じことのように思います。
3.掠れ(かすれ/kasure)」は行書や草書にとって重要な鑑賞要素となります。
2に同じで結果的にでるものです。
水分が足りなくなれば、結果的に筆は掠れます。
よって再び筆を墨につけます。
最初のうちは誰しも掠れを嫌う傾向になります。
掠れないように墨をやたらつけるでしょう。
それで構わないと思います。
掠れを気にする以前の問題だからです。
掠れは難しいです。
わざと掠れれば、滲みと同じで鑑賞を阻害させます。
しかし、1行目と2行目が同じ位置で同じように掠れていると、
仮に書いた本人は意図していなかったとしても、作為的に感じてしまいます。
自然観が損なわれてしまうのです。
そこは意図的に位置を外します。
その意図が見透かされると鼻につくでしょう。
なので気にしないで意図する必要が出てきます。
いずれにせよ先の話です。
4.粘度、粘土ではありません。
ネットリ感ですね。
血液と同じで、サラサラしていると筆がはしります。
はしるとは、スムースに筆が動くということです。
粘度が上がると筆に抵抗を感じます。
草書の際は抵抗感は特に気になります。
主にサボったリングが出た時に気になります。
最初はそれどころではないので気にする必要はないでしょう。
(私にしか適用されない用語)
※格下げになった急須
夏場にお茶をいれたまま放置してしまいカビが盛大に繁殖。
洗った後もお茶を飲むには躊躇われた急須。680円で購入。
※サボったリング:
硯に墨をいれたまましばく放置していたため、
水分が蒸発し水位が下がった際にできる。
毎日、もしくは定期的に書いていればこんなことは起きない。
怠け者の証。(笑)